「日本の伝統衣裳の和装で凜とした結婚写真を残したい」と和装前撮りをご希望される方は増えています。ですが、多くの方にとって和装の着物は着慣れない衣裳ですから、どうやって選べばいいか悩まれることも。それに和装を身に纏える滅多にない機会だからこそ美しい写真にしたいですよね。今回は着物初心者の方に向けて前撮りでの和装の選び方や撮影のポイントをご紹介します。

和装の種類で選ぶ

前撮りの和装には全身真っ白で最も格が高い「白無垢」、華やかな色柄が描かれた「色打掛」、長い裾を引いて着用する「引き振袖」の3種類があります。それぞれの衣裳によって雰囲気が異なる前撮りの特徴を見ていきましょう。

白無垢での前撮り

白無垢は和装の中で最も格が高い衣裳で、邪気を払うと考えられている白を全身に身に纏う結婚式の儀式にふさわしい衣裳。伝統的な結婚を意識した前撮りにしたいという新婦様に選ばれています。

白無垢を着た新婦様のコラージュ

色打掛での前撮り

鮮やかな色柄や豪華な刺繍や錦織、金工芸などが施された色打掛は、一際目を引く華やかな婚礼衣装。江戸時代に武家の娘が嫁ぐ際に婚礼衣装として着用したと言われています。色打掛は艶やかな和装前撮りになります。

色打掛を着た新婦様のコラージュ

引き振袖での前撮り

裾を後ろに引いて流す引き振袖は、優美なラインが美しい花嫁衣装です。黒い引き振袖は江戸時代から昭和にかけて定着し、挙式で身につけられていました。白無垢や色打掛は打掛の下に帯がくるので見えませんが、引き振袖は打掛を着ないため引き振袖と帯とのコーディネートを楽しめる前撮りになります。

お顔や体型に映える色や柄を選ぶ

白無垢は真っ白ですが「オフホワイト」「アイボリー」「純白」とトーンに違いがあり、無地というわけではなく、さまざまな柄が織られていたり、刺繍がされています。色打掛と引き振袖は豪華な色柄によって違う雰囲気を演出します。白無垢、色打掛、引き振袖のどの衣裳も花嫁の幸せを願う吉祥文様や華麗な草花柄が施されています。お好きな色柄や気になる衣裳をたくさん試着して、お顔がぱっと華やぐ顔映りの良い衣裳を選ぶことをおすすめしています。大きな柄は豪華な印象に、小さな柄は可愛い雰囲気に、縦に伸びる柄はスマートに見せる効果があります。襟回りに柄が多いと華やかな印象を演出し、柄が少ないとクールな印象を与えることができます。一般的に身長が高い方は大きな柄や余白のあるデザインが、小柄な方は小さい柄や全体に広がりのある柄が似合うと言われています。ご自分の身長や体型に合わせて似合う柄を選んだり、なりたいスタイルをカバーする柄を選ぶのも衣裳選びのポイントのひとつです。

撮影場所やイメージに合う和装を選ぶ

神社やお寺など歴史ある神聖な場所では、格式の高い白無垢が似合います。伝統を感じられる日本らしい和装前撮りになります。淡いピンクの花に囲まれた桜ロケーションでは白無垢なら儚げに、色打掛なら艶やかに、引き振袖なら優雅な雰囲気の和装前撮りに。日本庭園や日本建築、紅葉ロケーションでは、深みのある背景に白無垢が際立ち、清楚な存在感のある和装前撮りになります。色打掛や引き振袖は自然や建物に華やかに映えて、豪華な彩りの和装前撮りになります。

可愛らしい桜をバックに白無垢のロケーションフォト
紅葉ロケーションでお散歩ショット

和装前撮りの撮影のポイント

和装を実際に着付けしてみると想像以上に重たいため、猫背になりやすいので注意が必要です。日本の伝統的な美しさを演出する和装前撮りをより美しく残すには、姿勢や所作、ポーズの取り方が大切なため、和装前撮りを撮る際に知っておきたい撮影のポイントを詳しくご紹介します。

和装での姿勢

和装を着付けたら、背筋を伸ばして両肩を後ろに引き、肩甲骨を寄せるような姿勢を意識しましょう。和装は洋服とは違って重量がありますから、いつも姿勢が良い方でも前屈みになりがちです。撮影中は常に姿勢を良くしていると疲れるのでカメラマンがファインダーを覗いたら姿勢を意識するなど、メリハリを効かせて姿勢をキープするといいですよ。

庭園を眺める新郎新婦のロケーションフォト

和装での美しい立ち方

和装での美しい立ち方は、頭頂からかかとに向かって1本の線がまっすぐ通っているイメージを持つように背筋を伸ばしましょう。新婦様はつま先を軽く内側に付けて八の字にします。新郎様は足を肩幅くらいに開いてつま先はやや外側に向けます。重心は偏ることなく両足に均等に力が掛かるようにして、少し胸を張ることを意識してください。おふたりが並んで立つ場合、新郎様は正面を向きます。新婦様は右足を後ろに少し引いて、斜め左45度に向いて顎を少し引くと美しい立ち姿の和装前撮りに仕上がります。

美しい庭園をバックに微笑む新郎新婦様

指先の所作

和装は身体のほとんどを衣裳で覆われており、目に見える場所はお顔周りと両手だけです。撮影時に表情を意識することは多いですが、指先はうっかりしがち。油断すると残念な印象になってしまうため、指先の所作は美しい前撮りになるかどうかを左右する重要なポイントです。和装の新婦様をキレイに見せる指先の所作の基本は、おへその前あたりで手を重ねること。だらんと両手を下ろさないようにしましょう。手を重ねる時は、左手の指先を右手の指先の上に乗せます。指は伸ばして少し上向きにすることがポイント。手の力が抜けて指が開いていると締りのない印象になってしまうので要注意です。しっかりと指先まで意識が行き届いた美しい和装前撮りにしたいですね。

新婦様のお手元アップの写真

末広と呼ばれる扇子を持つ場合は、帯の少し下くらいの高さで持ちます。右手の人差し指を末広の塗りの部分に沿わせて伸ばし、人差し指以外の4本で末広の根元を自然に包むように軽く握り、左手は扇の下から添えるだけにします。

新婦様のお手元アップの写真

和装前撮りにおすすめのポーズ

茶室や和室でおふたりが並んだ正座ショットは人気のポーズ。新郎様は少し足を開いて座り、手は軽く握って太ももの足の付け根近くに置きます。新婦様は両膝をそろえて座ります。両足の親指をそろえて、かかとの上に腰を乗せるようなイメージで腰を下ろすと美しい正座姿を作れます。手は太ももの中央あたりに置き、右手の指先に左手の指先を重ねましょう。おふたりとも姿勢をピンと伸ばしてくださいね。

茶室での正座ショット

正座のまま少し前屈みになるお辞儀ショットもおすすめです。新郎様は開いた膝の前あたりに指先を床に付けて手をハの字にします。新婦様は閉じた膝の前あたりに指先を床に付けて左手を前に、指先を重ねます。新郎様も新婦様も手のひらをベタッと床に付けず、指先を立てるイメージにするとキレイですよ。正座ショットもお辞儀ショットも、おふたりの姿勢の角度をそろえることを意識しましょう。

茶室でのお辞儀ショット

椅子や縁側に座ったシーンもおすすめポーズのひとつ。新婦様が座るときは、両膝をそろえて腰掛けます。深く腰掛けると着崩れしやすくなるので、浅く腰掛けるのがポイントです。新郎様が座る時は深く腰掛けて少しだけ足を開くことがポイント。背中は椅子にもたれず姿勢は正してください。堂々とした印象になりますよ。新婦様が座って、新郎様が立つショットも定番ですが、座っている新婦様の肩に新郎様が近い方の手を添えると寄り添った雰囲気がアップします。新郎様が新婦様の座る椅子の背もたれに両手を置いてお顔を寄せると、仲睦まじい雰囲気のショットになります。

新郎新婦様の座りショット

まとめ

着物初心者の方に向けた和装の選び方をご紹介しました。白無垢、色打掛、引き振袖とそれぞれの前撮りの雰囲気、お顔映えや体型に合わせた色柄の選び方、場所やイメージに合わせた選び方などを参考に写真映えする和装を選んでくださいね。和装ならではの美しい姿勢や立ち方、指先の所作、ポーズもチェックして麗しい和装前撮りを撮影しましょう。