和装の前撮りで衣裳を選ぶ際に、「白無垢に憧れがあるけれど、どれも真っ白で同じに見える」「自分に似合う白無垢がどれかわからない」と衣裳選びで迷われる新婦様がいらっしゃいます。今回はそんな新婦様のために似合う白無垢の選び方をご紹介します。

白無垢の色について

真っ白なイメージがある白無垢ですが、実はウェディングドレスと同じように、微妙に色味の違いがあります。純白からオフホワイトやアイボリーなどがあり、同じ白でもトーンに違いがあります。

日本人によく似合う「オフホワイト」

「オフホワイト」は真っ白ではなく、少し灰色や黄色が混ざった優しい白のことを指します。日本人の肌に良くなじむのが「オフホワイト」の白無垢です。

オフホワイトカラーの白無垢

目や髪色が明るい方に似合う「アイボリー」

「アイボリー」は「オフホワイト」よりも黄色みがある白になります。目や髪色が明るい方におすすめなのが「アイボリー」です。

アイボリーカラーの白無垢

色白の方に似合う「純白」

白の中でも青味がかった色が「純白」になります。お肌の色が白く、目や髪が黒い方に似合うのが「純白」です。

純白色の白無垢

白無垢の素材について

白無垢に使われている素材・生地も選ぶポイントのひとつです。主に「正絹(しょうけん)」「交織(こうしょく)」「化学繊維」の3種類があるので、それぞれの特徴についてご説明します。

高級感のある「正絹(しょうけん)」

「正絹(しょうけん)」は絹のみで織られた生地のため、とても高価なもの。やや生成りがかった柔らかい色味で、光沢感があり肌ざわりがよく、高級感があります。

上質感があり着崩れしにくい「交織(こうしょく)」

緯糸(よこいと)に化繊が使われ、経糸(たていと)に正絹を使って織られた生地が「交織(こうしょく)」です。正絹の上質感と化学繊維の扱いやすさが魅力です。

純白に輝く「化学繊維」

「化学繊維」を使った白無垢は、混じりけのない純白に仕上がります。正絹や交織に比べると硬さがあり、張り感があります。

白無垢の柄について

白無垢にはさまざまな柄があり、おふたりの幸せを願った縁起の良い吉祥文様が施されています。文様の意味に注目し、気に入られた柄を前撮りの白無垢に選ぶのも選択肢のひとつです。前撮りをされる季節に合わせたり、お好きな植物文様を選ばれる方もいらっしゃいます。

古くより「鶴は千年、亀は万年」と長寿の瑞鳥(ずいちょう)と言われる「鶴」。つがいで一生を添い遂げるため、夫婦円満の象徴として白無垢によく使われる柄です。立ち姿や飛翔する姿は、優雅で気品があります。

白無垢の柄(鶴)

鳳凰

「鳳凰」は古代中国の伝説の鳥で、鶴と同様に夫婦円満を象徴する瑞鳥として尊ばれる格式高い文様で、特に「桐竹鳳凰文」は皇室の衣服や調度品にも使われる高貴な文様です。「鳳凰」は豪華な印象を演出する柄です。

白無垢の柄(鳳凰)

鴛鴦(おしどり)

つがいが仲睦まじく水辺を泳ぐ姿から仲のよい夫婦を「おしどり夫婦」と呼ぶように、「鴛鴦(おしどり)」の柄は、良縁や夫婦円満を意味します。

白無垢の柄(鴛鴦)

松竹梅

長寿を意味する「松」、すくすく伸びることから子どもの生命力を思わせる「竹」、寒さに耐えて花を咲かせる「梅」は子孫繁栄や春を表しています。「松竹梅」は日本で古くからさまざまなものにあしらわれた吉祥文様です。

白無垢の柄(松竹梅)

平安時代に文様化された日本を代表する花の「桜」。花びらが散りばめられた文様や春の桜と秋の楓を組み合わせた文様など、さまざまな文様があります。春はもちろんですが、季節を問わず用いられる人気の柄です。

白無垢の柄(桜)

牡丹

「百花の王」と言われ、冨貴を意味する豪華な「牡丹」。「牡丹」が描かれた白無垢は、華やかで存在感があり、写真映えします

白無垢の柄(牡丹)

花車

花で飾った御所車は華麗な古典柄のひとつ。車輪だけに花をあしらったものや四季の草花を入れた花かごを積んだ車など、多様な柄があります。

白無垢の柄(花車)

熨斗(のし)

お祝い事の進物を文様にした熨斗(のし)。束ね熨斗の柄は、熨斗それぞれに吉祥文様が描かれているので、絢爛豪華な印象の前撮りになります。

白無垢の柄(熨斗)

現代風の柄

洗練されたモダンな印象を与えるのが、現代風の柄です。薔薇や百合などの花や植物をモチーフにした華やかな柄があり、古典柄とは違った趣の前撮りが楽しめます

白無垢の柄(現代風の柄)

白無垢の織りや技法について

白無垢は生地の織り方によって質感が変わります。さまざまな技法によっても纏った際の印象が違います。

綸子(りんず)

光沢があり、なめらかな肌ざわりの綸子(りんず)。撚りのない生糸を使用した緞子織の生地です。

緞子(どんす)

「金襴緞子(きんらんどんす)」は高級な織物の代名詞。光沢と重厚感のある生地です。綸子と織り方は同じなので、見た目の違いはほとんどありませんが、緞子の方が厚みがあります

縮緬(ちりめん)

しなやかでしぼがあるのが特徴の「縮緬(ちりめん)」。留袖などに用いられることが多く、白無垢に使われることは少ないです

刺繍

代表的な刺繍の技法は、生地に直接柄を起こす「横振り刺繍」結び玉を連ねて模様を描く「相良刺繍(さがらししゅう)」、太い金糸や銀糸を駒に巻きつけ、下絵に沿って文様をはわせて縫い付ける「金駒刺繍」「銀駒刺繍」などがあります。

箔押し・箔置き

「箔押し」や「箔置き」は、紙のように薄い金箔や銀箔を用いて、模様や文様を立体的に表現する技法で、豪華な雰囲気がアップします。

白無垢のふきについて

表から裏地が見えるように仕立てた裾の部分を「ふき」と呼びます。白無垢のふきは白が多いですが、魔除けを意味する赤を使った「赤ふき」も人気があります。最近はパステルカラーのふきも登場しています。

白無垢のふきの写真

前撮りで似合う白無垢を選ぶポイント

前撮りの白無垢はお好きな色や柄から試着して探すことをおすすめしていますが、似合う目安がわからないという新婦様は、身長やお肌の色パーソナルカラーを参考に絞っていくと似合う白無垢が見つかりやすいですよ。

身長の高さで選ぶ

一般的に小柄な方は小さい柄が、背が高い方大きな柄が似合うと言われています。小さな柄は可愛い雰囲気になりますし、大きな柄は豪華な印象を与えます。

小柄な方に似合う白無垢

小柄な方には、文様が小ぶりな白無垢から柄が全体に広がりのある白無垢柄が縦長の白無垢などが似合います。

小柄な方に似合う白無垢のコラージュ

背が高い方に似合う白無垢

背が高い方に似合うのは、大きな柄の白無垢はもちろんですが、余白のあるデザインの白無垢も映えますよ。

背が高い方に似合う白無垢のコラージュ

お肌の色やパーソナルカラーで選ぶ

お肌の色や季節のカラーに分類されるパーソナルカラーで似合う白無垢を見分けることができます。ネットやアプリにあるパーソナルカラー診断で自分のタイプをチェックして似合う白無垢を見つけましょう。

イエローベース春タイプに似合う白無垢

黄色みのある明るい肌色のイエローベース春タイプには「アイボリー」の白無垢が似合います。小物や掛下などのコーディネートには、明るくクリアな「ブライトカラー」がおすすめです。サーモンピンク、イエロー、コーラルピンク、ライトグリーン、ブライトオレンジなどイエローがかった色味をアクセントにするとお顔映えがアップ。

イエローベース春タイプに似合う白無垢のコラージュ

イエローベース秋タイプに似合う白無垢

マットな質感で落ち着いた肌色のイエローベース秋タイプには、アンティーク感のある生成りに近い「アイボリー」の白無垢がおすすめです。コーディネートの差し色は「スモーキーカラー」が似合います。テラコッタ、金色、マスタード、カーキなど、ナチュラルなアースカラーを選ぶと肌映りがよくなります。

イエローベース秋タイプに似合う白無垢のコラージュ

ブルーベース夏タイプに似合う白無垢

きめ細かい肌質のブルーベース夏タイプは、ほんのり青みがかった「オフホワイト」の白無垢をセレクトしましょう。小物や掛下は、淡いブルーやグレイッシュな色味の「ペールカラー」でコーディネートすると気品あふれる雰囲気になります。

ブルーベース夏タイプに似合う白無垢のコラージュ

ブルーベース冬タイプに似合う白無垢

色白で艶感のある肌質のブルーベース冬タイプには、「純白」の白無垢が似合います。コーディネートには少し青みのある色味や原色カラーを。ピンク、ロイヤルブルー、ワインレッド、モノトーンなど、はっきりとした「ビビットカラー」をアクセントにすると存在感のある白無垢姿を演出できます。

ブルーベース冬タイプに似合う白無垢のコラージュ

まとめ

今回は前撮りで似合う白無垢の選び方をご紹介しました。同じ白無垢でも、色、素材、柄、織り、技法によって印象は変わります。お好きな色や気に入った柄の意味などから選んでもいいですし、身長や肌色、パーソナルカラーを参考にコーディネートを選んでもいいと思います。たくさん試着しながら、お顔映えする白無垢を見つけてくださいね。